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アルミと表面処理

アルミに対する表面処理の方法と特性

  アルミは一般的に耐食性が高いため、表面処理を行わないでそのまま使用されることが多いですが、極度の湿気、酸またはアルカリの環境下においてはアルミの表面が酸化し腐食してしまうことがあります。アルミの代表的な表面処理方法としてはアルマイト処理がありますが、このアルマイト処理はアルミの耐食性を向上させることはもちろん、例えば酸化被膜を厚くすることで絶縁性も向上させることができます。

  このようにアルミには表面処理を行うことによって、環境に応じた様々な特性を付加させることができることも大きな特徴の一つとなります。軽くて強いというアルミの特徴を最大限に活かしながらも表面処理を加えることによって活用される幅が大きく広がっています。ここでは、アルミに採用される表面処理の方法とそれによって得られる特性を概観していきます。

①代表的なアルミの表面処理の方法

(1) アルマイト処理

  アルマイト処理とは、アルミに行う表面処理の中で最もポピュラーな表面処理の方法であり、アルマイト溶液中でアルミ素材を溶かしながら酸化膜を成長させる方法です。この「溶かしながら酸化膜を成長させる」というのがアルマイト処理の特徴であり、例えばφ20 の穴にアルマイト処理を行う場合、10μm の酸化被膜を確保しようとするとアルミ表面を5μm 浸食されながら10μm の膜ができることとなります。従って20μm の穴径は、(-5+10)×2=10μm と小さくなります。
これがメッキ処理を行うとどうなるでしょうか。メッキはアルミ表面の浸食を伴わず材料の上にメッキ厚が形成されるので、10μm の膜厚を形成させた場合はメッキ厚がそのまま乗ることとなり、20μm の穴径は理論上ゼロとなって穴径を確保することができなくなります。

  また、アルマイト処理とメッキを比較すると、アルマイト処理のほうがメッキよりもアルミ素材との密着性が優れていることも特徴のひとつとして挙げられます。さらにアルマイト処理では微小穴の中までも均一な酸化膜が生成される上、膜厚の精度を確保しやすいので、例えば、20μmの硬質アルマイトの場合、φ20 の穴径でH6 公差を達成することが可能となります。

(2) 化成処理

  化成処理とは、アルミの表面に化学的に酸化被膜を生成させる表面処理方法のことを言います(なお、アルマイト処理の酸化被膜は化学的ではなく陽極酸化によって得ます)。酸化膜は0.1~ 0.2μm と薄く、酸化被膜が化成処理よりも厚いアルマイトと比較すると耐食性と耐摩耗性は劣りますが、簡易表面処理の方法として活用されています。化成処理によってアルミ表面に得られた化成被膜はアルミ素地との密着性が非常に良好になるので、主に塗装の下地処理として利用されます。なお、アルマイト処理とは違い、化成処理は被膜が形成されても電気的導通は確保されます。
また、化成処理の方法は「アロジン」または「イリダイト」とも呼ばれます。「アロジン」はクロメート処理をしているのでRoHS 規制には対応していませんので、RoHS 規制に対応した化成処理としては、「ノンクロムアロジン」や「パルコート」などがあります。

(3) メッキ処理

  アルミに行うことができるメッキ処理には様々なものがありますが、アルミに直接処理できるメッキには、ニッケルメッキ、亜鉛メッキ、無電解ニッケルメッキなどがあります。アルミ以外では銅、クロム、金、銀、錫などは下地処理をした後にメッキが行われます。

②表面処理で得られるアルミの特性

(1) 耐食性の向上

  アルミに自然に生成される酸化被膜は約20 オングストローム(0.002μm)とされています。この厚さの被膜でも通常の環境下であれば十分に耐腐食性を持ちます。しかし環境によって高い耐食性が求められる場合、機械部品は厚み5 ~ 10μm の白アルマイト処理が行われるのが通常です。この白アルマイト処理は海水、酢酸、アセトン、青酸などに対しても耐食性があります。また、自然に生成される酸化被膜では電気的には導通してしまいますが、白アルマイト処理後は非導通になります。

(2) 表面硬化

  アルミに白アルマイト処理を行うと、その被膜の組成は「Al₂O₃」となり、ルビーやサファイアと同じになります。したがって白アルマイト処理によっても表面の強度が上がりキズが付き難くなりますが、更に表面の硬さが必要な場合は、硬質アルマイト処理(膜厚 通常50μm)、または 超硬質アルマイト処理(膜厚 30 ~150μm)という処理によって表面硬度を得ることができます。

(3) 耐摩耗性向上・摩擦係数低下・撥水性向上

  例えば表面処理をせずにアルミ部品を摺動面に使用しますと、すべりが悪くカジリが発生しやすくなります。このような場合は硬質アルマイト処理以上の処理を行うことがあります。さらに硬質アルマイトとフッ素樹脂のシナジー効果で耐摩耗性向上と摩擦係数低下を同時に狙う表面処理、たとえばタフラム処理・テフロン含浸コーティングなどの表面処理の方法があります。テフロンは摺動性が高い樹脂として様々な分野で使用されています。

(4) 美観向上・着色アルマイト

  アルミの耐食性の向上を目的として行うアルマイト処理は、陽極酸化により100 ~ 150Å(0.015 ~ 0.02μm)の孔ができます。この穴を利用して、穴に染料を入れてから穴を塞ぎますと着色を行なうことができます。黒い色をしたアルミ製品や、家電製品など身近な製品で赤や青などカラフルに色づけされたものは、すべてこの着色アルマイト処理を行った製品です。なお、色の種類によって膜厚は異なり、5 ~ 30μm 程度が一般的です。その中でも特に黒色アルマイトは厚い膜が必要になります。さらに着色アルマイトの他に艶消しアルマイトというものもあります。この艶消しアルマイトには黒色以外にも存在し、不要な反射を嫌う光学機器などでも使用されることがあります。

(5) 電気的不導通・導通

  アルミ表面に自然に生成される酸化被膜は導通しますが、白アルマイト処理後は非導通になります。導通が必要な場合は、通常アルマイト処理がされないように部分的なマスキングを行います。通常の白アルマイト処理では不十分な場合は、酸化被膜を厚く形成することで、非導通性を向上させることが可能です。

アルミの表面処理の価格帯

  先に述べたようにアルミに対して行うことができる表面処理は様々なものがあり、得られる特性も違えばコストも変わります。ここでは、設計者が知っておくべきアルミの表面処理方法のコスト比較表を掲載します。アルミに行う表面処理の特性が重要な場合はさておき、多くのアルミ製作物はコストがより優先されることが多いので、下記を参照しながら表面処理の方法を検討するのが良いでしょう。

<アルミ 表面処理価格比較表>

~通常の白アルマイトを100をした時~
種類 価格帯 種類 価格帯
白アルマイト 100 無電解ニッケル 140
硬質アルマイト 160 着色アルマイト 180
テフロン硬質アルマイト 190 着色硬質アルマイト 240
(参考)鉄黒染め 60 (参考)鉄硬質クロムメッキ 260

※当社独自調査による

アルミに行われる表面処理別方法別の割合

  さらに、アルミに用いられる表面処理の方法の内訳を下記にて示します。機械部品に用いられるアルミのうち、50%は何らかのアルマイト処理が行われています。一方で、何も表面処理を行わないで使用されるケースも40%程度存在します(ただし、アルミ鋳物を含む)

alumiHyomenPer

alumiHyomen1 alumiHyomen2
表面処理なし 白アルマイト処理
alumiHyomen3 alumiHyomen4
黒アルマイト処理 カラフルなアルマイト処理

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